はじめに
登山での快眠は、翌日の体力や安全性に直結します。特に標高の高い場所では、夏でも夜は冷え込みが厳しく、適切なシュラフ(寝袋)を選ばなければ快適な睡眠は得られません。
そんな中、多くの登山者から信頼されているのが、日本発のアウトドアブランド「モンベル」。豊富なラインナップと確かな品質で、初心者から上級者まで幅広く支持されています。
この記事では、モンベルの登山用シュラフの選び方やおすすめモデルを徹底解説。ダウンと化繊の違い、季節や登山スタイルに応じた選び方まで、元登山店員の視点でわかりやすく紹介します。
モンベルの登山用シュラフを使うメリット
豊富な共通機能
かみ込みの軽減は地味に嬉しいですね。夜中起きてトイレにいくときに、ジッパー噛んでしまいやってしまったと何度思ったことか、、、
独自のストレッチ構造
出典:mont-bell公式HP
スーパースパイラルストレッチ システム(特許取得済み)は、睡眠中に「狭いな」と感じさせない抜群のストレッチ性が特徴です。
学生時代、1つのテント内でギュウギュウづめになっていた私からすると夢のような性能です。(もっと早くmont-bellを知っていれば・・)
高い保温性
出典:mont-bell公式HP
・縫い目がなく、暖気が逃げない
モンベルの寝袋を選ぶ際の注意点・デメリット
いくら高機能とはいえ、モンベルのシュラフにも注意しておきたい点があります。
- 型番・温度表記が複雑:#1〜#7やFP(フィルパワー)の違いが分かりにくく、初心者にはややハードルが高いと感じられることがあります。
- 超UL(ウルトラライト)志向には不向きなモデルも:一部モデルは極限まで軽量化された海外ブランドに比べると、やや重めな傾向があります。
- 人気モデルは売り切れやすい:特にダウンハガー800シリーズは品切れになることが多いため、早めの購入検討が必要です。
モンベルシュラフの選び方
出典:mont-bell公式HPをもとに、ポレポレ編集部が加工
モンベルのシュラフは厳密に分けると30種類以上ありますが、縦軸(想定シーズン)と横軸(性能と費用の兼ね合い)の2軸をもとにベストな1品を選ぶことができます。

想定シーズン
出典:mont-bell公式HPをもとに、ポレポレ編集部が加工
モンベルのシュラフは、温かい順にEXP~#7の7種あり、番号が小さいほど温かく、番号が大きいほど涼しくなります。
無雪期登山で3シーズン使用する場合は、#2か#3が無難です。
#1より上の性能の場合夏場ではオーバースペックになり、#5以下の性能の場合、春・秋山や夏場でも高所登山では肌寒くなります。
- EXP:極寒地用(快適温度−10℃以下)
- #0:厳冬期用(快適温度−10℃~−5℃)
- #1:厳冬期用(快適温度−5℃~0℃)
- #2:冬期用(快適温度0℃~5℃)
- #3:春秋の中級登山に◎(快適温度5℃~10℃)
- #5:夏山向け・軽量(快適温度10℃~15℃)
- #7:夏山向け・軽量(快適温度15℃以上)
性能と価格の兼ね合い
出典:mont-bell公式HPをもとに、ポレポレ編集部が加工
性能と価格のバランスを考えるにあたって大事なのは、
・ダウンor化繊→ダウンが高品質・高単価
・FP(フィルパワー)→数が大きいほど高品質・高単価
ダウンor化繊
比較項目 | ダウン素材 | 化繊素材 |
---|---|---|
保温性 | ◎ 高い。少量でも暖かい | ○ 標準的だが十分暖かい |
軽量性 | ◎ 非常に軽くコンパクト | △ やや重くかさばる |
撥水性 | △ 水濡れに弱い | ◎ 濡れても保温性を維持しやすい |
速乾性 | △ 乾きにくい | ◎ 洗濯しやすく乾きやすい |
耐久性 | ○ 長期間の使用にも対応 | ○ 摩耗にも強い |
価格 | △ 高価(高品質ダウンは特に) | ◎ 比較的安価 |
おすすめ用途 | 軽量登山・寒冷地・長期縦走 | 雨天キャンプ・初心者・短期利用 |
シュラフの中綿素材は、「ダウン」と「化繊」に大別されますが、現代登山の主流はダウン素材になります。軽量で小さく、温かいことが大きなメリットです。
フィルパワー
フィルパワー(FP) | 特徴と用途例 |
550〜650 | 標準的な保温力。キャンプや低山に最適。 |
700〜750 | 中級者向け。登山や寒冷地の3シーズン使用に◎ |
800〜850 | 上級者向け。軽量で保温性が高く厳寒地にも対応 |
900以上 | 超高性能。ウルトラライト志向や極寒遠征向け |
フィルパワー(FP)は、ダウンの嵩(かさ)を示す指標で、数値が高いほど高性能になります。650FP〜以上があると安心です。モンベルは650・800・900と3ランクで展開中。
登山スタイル別!モンベル寝袋4シリーズ
出典:mont-bell公式HPをもとに、ポレポレ編集部が加工
ドライシームレスダウンハガー900
「ドライシームレスダウンハガー900」はダウンの片寄りを防ぐための隔壁を廃した、画期的な「スパイダーバッフルシステム」を搭載した防水スリーピングバッグです。
モデル | 快適温度 | 限界温度 | 重量 | 価格 | 特徴 |
---|---|---|---|---|---|
#1 | -3℃ | -9℃ | 898g | ¥80,000 | 冬季登山向け。高い保温性。 |
#2 | 1℃ | -5℃ | 752g | ¥68,000 | 冬季縦走や積雪期登山に適応。 |
#3 | 5℃ | 0℃ | 595g | ¥57,000 | 3シーズン対応。軽量で汎用性高。 |
#5 | 8℃ | 4℃ | 504g | ¥49,000 | 夏季キャンプや縦走向け。最軽量。 |
厳冬期の登山には#1、春秋の登山やキャンプには#2や#3、夏季の軽量装備を求める場合は#5が適しています。また、身長183cm以上の方にはロングバージョンも用意されています
シームレスダウンハガー800
「シームレスダウンハガー800」は、高品質な800FP EXダウンと、超軽量シェル素材を組み合わせた軽量スリーピングバッグです。春・秋のテント泊や夏の高山など、3シーズンを幅広くカバー。価格・性能のバランスがよく、迷ったらまずこれ。
モデル | 快適温度 | 限界温度 | 重量 | 収納 | 価格 | 特徴 |
---|---|---|---|---|---|---|
EXP | -12℃ | -20℃ | 1,397g | Φ20×40cm(11.1L) | ¥74,250 | 厳冬期対応。最大の保温性。 |
#0 | -6℃ | -13℃ | 1,027g | Φ18×36cm(8.1L) | ¥55,000 | 冬季登山向け。高い保温性。 |
#1 | -3℃ | -10℃ | 893g | Φ16×32cm(5.7L) | ¥49,500 | 冬季縦走や積雪期登山に適応。 |
#2 | 0℃ | -5℃ | 703g | Φ15×30cm(4.7L) | ¥44,000 | 3シーズン対応。軽量で汎用性高。 |
#3 | 4℃ | -1℃ | 555g | Φ13×26cm(3.0L) | ¥38,500 | 春秋の登山やキャンプに最適。 |
#4 | 7℃ | 2℃ | 500g | Φ12×24cm(2.4L) | ¥34,100 | 夏季キャンプや縦走向け。軽量。 |
#5 | 8℃ | 3℃ | 462g | Φ12×24cm(2.4L) | ¥31,900 | 夏季キャンプや縦走向け。最軽量。 |
#7 | 11℃ | 7℃ | 412g | Φ12×24cm(2.4L) | ¥29,150 | 夏季の低地キャンプに最適。 |
「ダウンハガー650」は、軽量コンパクトながら高い保温性を備えたスリーピングバッグ。価格帯を抑えることができるのもPOINT。
モデル | 快適温度 | 限界温度 | 重量 | 収納 | 価格 | 特徴 |
---|---|---|---|---|---|---|
#0 | -8℃ | -15℃ | 1,390g | Φ20×40cm | ¥42,900 | 厳冬期対応。最大の保温性。 |
#1 | -5℃ | -12℃ | 1,180g | Φ18×36cm | ¥36,300 | 冬季登山向け。高い保温性。 |
#2 | -2℃ | -7℃ | 1,020g | Φ17×34cm | ¥30,800 | 冬季縦走や積雪期登山に適応。 |
#3 | 3℃ | -2℃ | 720g | Φ15×30cm | ¥26,400 | 3シーズン対応。軽量で汎用性高。 |
#4 | 5℃ | 0℃ | 660g | Φ14×28cm | ¥24,200 | 春秋の登山やキャンプに最適。 |
#5 | 7℃ | 3℃ | 599g | Φ13×26cm | ¥23,650 | 夏季キャンプや縦走向け。最軽量。 |
シームレスバロウバッグ
「シームレスバロウバッグ」は表地に縫い目の出ないシームレス構造を実現した、化繊綿のスリーピングバッグです。ダウン中綿に比べて保温性は落ちるがその分、安価であったり、丸ごと洗えて手入れが楽な点が高ポイントです。
モデル | 快適温度 | 限界温度 | 重量 | 収納 | 特徴 |
---|---|---|---|---|---|
EXP | -11℃ | -20℃ | 2,810g | Φ24×48cm(17.4L) | 厳冬期対応。最大の保温性。 |
#0 | -8℃ | -15℃ | 2,157g | Φ22×44cm(14.8L) | 冬季登山向け。高い保温性。 |
#1 | -5℃ | -12℃ | 1,782g | Φ21×42cm(12.8L) | 冬季縦走や積雪期登山に適応。 |
#2 | 0℃ | -6℃ | 1,479g | Φ20×40cm(11.0L) | 3シーズン対応。軽量で汎用性高。 |
#3 | 5℃ | 0℃ | 963g | Φ17×34cm(6.8L) | 春秋の登山やキャンプに最適。 |
#5 | 7℃ | 3℃ | 814g | Φ16×32cm(5.7L) | 夏季キャンプや縦走向け。最軽量。 |
最強のモンベルシュラフ
シームレスダウンハガー800の#2,3
出典:mont-bell公式HPをもとに、ポレポレ編集部が加工
無雪期登山において、最強なモンベルシュラフは「シームレスダウンハガー800の#2,3」です。オススメなポイントは、下記2つです。
- 3シーズン対応で幅広く使える
- 軽量モデルで長期泊も対応可能
個人的な考え方ですが、あらゆる装備は下記に大別され、モンベルのシュラフにおける「機能ちょい重視」は「シームレスダウンハガー800の#2,3」です。
- 超・機能重視
- 機能ちょい重視(←オススメ)
- コスパ重視
- 価格最重視
機能ちょい重視がオススメな理由
① コスパと安心のバランスが最強
登山装備は命を預けるギアです。しかし、最上位モデル(超機能重視)は価格も重く、日常使いにはオーバースペックになりがち。一方、機能ちょい重視モデルは、快適性・保温力・軽さといった“必要な機能”はしっかり備えつつ、価格も現実的。コストに見合う以上の安心感が得られます。
② 対応できるシーンが広く、長く使える
春〜秋のテント泊、残雪期の山小屋泊、時には低山の雪山縦走など――
「少しハードな山」に挑戦したくなるのが登山の魅力。そのとき「もうワンランク上の装備があれば…」と後悔しないのがこのグレード。買い替えの必要が少なく、5年以上にわたり頼れる相棒になります。
まとめ|モンベルの寝袋は初心者にも最適な一本!
モンベルのシュラフは、初めての登山者から本格派まで幅広いラインナップが魅力。快適な睡眠は登山の安全性にもつながるため、自分の登山スタイル・季節・寒がり度に合わせて、最適な1本を選びましょう。
迷ったら「シームレスダウンハガー800の#2,3」がオススメです。全国のモンベル店舗での試着や相談もぜひ活用してください。


