はじめに
本格的な登山を始める際に、「どんなヘルメットが良いのか」悩んだことのある人も多いのではないでしょうか。北アルプスの岩稜帯から、沢上地形の登山道まで「ヘルメット必須」という注意書きはあるけれど、どんなヘルメットを持っていけば良いのか不明ですよね。
ヘルメットについて以下の悩みを持つ方は多いと思います。
- 初心者にとって、おすすめなヘルメットは?
- 最も軽量でフィット感が強いヘルメットは?
- そもそも自転車用のヘルメットと何が違うの?
- 日本人に似合わないブランド、似合うブランドは?
特に、ヘルメットを選ぶ際の判断基準と、私のイチオシヘルメットについて手厚く紹介できればと思います。
この記事を読むことで以下の内容がわかるようになります。
- 登山用ヘルメットが必要な理由
- 登山用ヘルメットを選ぶ判断基準
- 自転車用のヘルメットとの違い
- 私のおすすめ登山用ヘルメット
※記事の中でAmazonへの商品リンクを活用しています。
登山用ヘルメットはなぜ必要?
登山用ヘルメットが必要な理由は、下記2つです。
- 転倒滑落による頭部外傷を防ぐため
- 頭上からの落石を防ぐため
2024年度の夏山の事故理由の4割が、「滑落+転倒」になります。滑落や転倒は、どれだけ注意していてもふとした時に生じてしまう。登山用ヘルメットがあれば、助かる命もあります。
警察庁「令和6年夏期における山岳遭難の概況」を加工
2024年10月に涸沢ヒュッテに訪れた際にも、下記のような注意書きがありました。ヘルメット着用により、「約100m落下した際に、頭部は無傷だった」らしいです。
ちなみに、長野県公式HPを参照すると、少なくとも長野県の100名山29座のうち9座が、岩稜帯や活火山地域はヘルメット着用指定となっています。
私が、御嶽山に登山した際には、ヘルメット着用必須でしたが、忘れていたためロープウェイ乗り場でレンタルしました。(登山用ヘルメットは購入すると10000円前後で、レンタル代2000円でした。)天気が良かったこともあり、山頂写真を撮ろうと、50人ぐらい並んでいましたが、ざっと35人ぐらいはヘルメットを着けていた気がします。
➝つまり、夏山の事故理由の4割に関わり、人気エリアでのヘルメット着用指定山域が多く、レンタルするとやや高いので、「登山用ヘルメットは1つ持っておくのが無難です」
登山用ヘルメットの3つの選び方
一般的な登山用ヘルメットの判断基準は、下記の3つになります。
- 自身の頭にフィットするかどうか
- 軽さと通気性をどこまで重視するか
- 安全基準(ENCE規格とUIAA規格)を満たすか
他には、ヘッドライトを装着できるか、インナーパッドを取り外しできるかという観点もあります。ただ、多くの登山用ヘルメットはヘッドライト装着可能で、インナーパッドの取り外しは他観点より劣後と判断し除外しています。
自身の頭にフィットするかどうか
登山用ヘルメットは、自身の頭にフィットするかがまず大切な観点になります。サイズ感や頭蓋骨の形状が合わないものを購入してしまうと、着用がストレスになります。
注意するべき観点は、下記の2つです。
- 日本人に合うか
- 男性用か女性用か
1つ目について、「日本人に合うか」は意外と落とし穴です。アジア人と欧米人は頭蓋骨の形状が違うため、欧米人の着用を前提としていると合わないケースがあります。モンベルではアジアンフィット、グリベルではジャパンフィットの形状を採用し、日本人の頭に合うため、人気となっています。
2つ目について、自身の性別にあったサイズ感のヘルメットを選ぶことも大切になります。頭蓋骨の外周の長さや、ヘアスタイルの違いを考慮する必要があります。同一商品でもS/M/Lとサイズバリエーションを出していたり、男性向け・女性向けと商品を分けているケースもあります。例えば、ペツルでは、男性向けは「メテオ」、女性向けは「メテオラ」と商品を分け、メテオラの場合サイズ感がコンパクトなことに加え、髪を束ねた状態で装着できるヘッドバンドを取り入れています。
➝結局は、装着してみて痛くないか・隙間ができないかがすべてなので、実際にお店で試してみるべきです。
軽さと通気性をどこまで重視するか
登山用ヘルメットの構造は、下記の2つです。
- インモールド構造:軽い、通気性〇➝高価
- ハードシェル構造:重厚感、通気性△➝安価
(左がインモールド構造、右がハードシェル構造)
安全基準(ENCE規格とUIAA規格)を満たしていれば、両タイプともに登山での使用可です。インモールド構造の主要ヘルメット5つと、ハードシェル構造の主要ヘルメット9つについて、価格と重量を比較してみたところ下記の結果になりました。
- インモールド構造平均:207g、14,865円
- ハードシェル構造平均:323g、9,374円
➝つまりは、100g軽くするのに5000円追加で払う価値を感じるかだと思います。
個人的には、ハードシェル構造のヘルメットでもそれほど重量を感じなかったので、安いインモールド構造のヘルメットを使用しています。1週間屋久島の沢で被りっぱなしでしたが、ストレスとは感じませんでした。(学生でお金が無かったという事情もあります)
他方、フリークライミングをやっている先輩はインモールド構造のヘルメットを使用していました。(確か、ペツルのシロッコという、最軽量ヘルメットでした)
安全基準(ENCE規格とUIAA規格)を満たすか
ヘルメットの安全規格は下記の2つです。
- ENCE規格:欧州の統一規格
- UIAA規格:国際山岳連盟による国際安全規格
主要な登山ブランドであれば、それほど気にしなくて大丈夫です。登山ブランドの中には独自の耐衝撃構造を備えているものもあります。例えば、ペツルの場合「TOP AND SIDE PROTECTION」を取り入れ、前部・側部・後部からの衝撃に対してのプロテクションを強化しています。
➝登山用ヘルメットは技術力の高い老舗登山メーカーから選べば、上記の安全規格を満たす可能性が高く無難です。
自転車用ヘルメットで代替できる?
自転車用のヘルメットで登山用ヘルメットを代用することは下記3点からおすすめしません。
- 安全基準が違うこと
- レインウエアをかぶりにくいこと
- ヘッドライトを取り付けられないこと
山は山装備で。特に、ヘルメットは安全確保にもろにかかわるので、登山用ヘルメットをそろえましょう。
オススメの登山用ヘルメットは?
下記3つの観点が登山用ヘルメットを選ぶ上で大事になります。
- 自分にフィットするか
- 課金し、軽さを追い求めるか
- 安全基準を満たせるのか
自分の場合はそれぞれについて下記の考え方をしています。
- 日本人の装着を前提とするか
- ハードシェル構造のものか
- 老舗登山ブランドのものか
使用中の登山用ヘルメット
今現在使用しているのは、モンベルの「アルパインヘルメット」です。北アルプス縦走から、屋久島の沢登、妙義山のクライミングまでずっと使っています。
- 日本人の装着を前提とするか➝アジアンフィットデザイン
- ハードシェル構造のものか➝YES
- 老舗登山ブランドのものか➝安心安定のモンベル
推しポイントは2つです
- 圧倒的に安い(7,260円)
- 後頭部ダイヤルアジャスターにより細かなフィット感
他方、他の登山者とモロ被りで没個性になってしまう点がネックです。また、顎ひものフィット感についても、やや安物感があり使用感が微妙でした。
オススメの登山用ヘルメット
今私のオススメは、グリベルの「サラマンダー2.0」です。
- 日本人の装着を前提とするか➝ジャパンフィット
- ハードシェル構造のものか➝YES
- 老舗登山ブランドのものか➝現存する最古のアウトドアブランドグリベル
付け加えて、推しポイントは2つです
- シルエットのかっこよさと独自性
- 顎ひも部分にパッドがあり、着用感が良い
登山ヘルメットあるあるな、頭でっかち感がなくなり、かっこいいです。また、顎ひも部分のフィット感も魅力的です。モンベルのヘルメットのマイナスポイント2つが解消されていて魅力に感じます。
頭が大きい人にもおすすめ!
また、グリベルのヘルメットはジャパンフィット×ワンサイズのサイズ調整機構で、それぞれの頭にフィットするように調整されているのも魅力です。
- 日本人に合った幅広タイプを選びたい・・
- 頭が大きくて、入らない・・
- 丈夫で安全なヘルメットを選びたい・・
- 他の人と被らないものを選びたい・・
- 世界最古のブランドに惹かれる・・
- オンラインでサクッと購入したい・・
こういった悩みを抱えているなら、グリベルの「サラマンダー2.0」超オススメです。
以下では、ニーズ別に「自分だったら、これを選ぶな」と思った登山用ヘルメットを紹介します。
- インモールド構造:主要5製品
- ハードシェル構造:主要9製品
上記14製品の中から、選出しております。
女性にオススメの登山用ヘルメット
女性にオススメなモデルは、ペツルの「ボレア」です。
ペツルは日本人規格のものはないため、実際に店舗で装着し、フィット感が良いことを確認してからの購入がオススメです。
ボレアのおすすめポイントは、
- 滑らかで女性的デザイン
- 女性に合わせたサイズ感(頭囲52-58cm)
- 髪を束ねている状態で装着できるヘッドバンドシステム
特に、髪の毛が長い方にはおすすめです。
オススメな軽量登山用ヘルメット
最軽量な登山用ヘルメットは、ペツルの「シロッコ」一択です。
シロッコのおすすめポイントは下記です。
- わずか170gの軽量性
- ペツル独自の耐衝撃構造の保護性
- 薄型で高い通気性
特に、わずか170gの軽量性は登山用ヘルメットの中でも圧倒的で、「帽子と装着感が変わらない」という口コミもありました。
一方で、やや欧米人向けなヘルメットであるためフィット感については試してみるのがオススメです。
デザイン性の高い登山用ヘルメット
この登山用ヘルメット面白いと思ったのは、グリベルの「ミュータント」です。
ミュータントのおすすめポイントは下記です。
- ダイヤモンドカットのような多角形
- 日本人規格の大きさ
国際基準を満たし、日本人にも合うサイズ感。そして何より、グリベルのミュータントならではの独特な見た目が刺さる人には刺さりそうです。
登山用ヘルメットの持ち運び方は?
登山用ヘルメットの持ち運び方は、下記3つです。
- ザック内部に収納
- ヘルメットホルダーの活用
- ザックのベルトに直付け
ヘルメットは意外とかさ張るため、ザック内部に収納することが難しく、かといってザックのベルトに直付けは、ぶらぶらして危ないため、ヘルメットホルダーあると便利だと思います。
軽量で持ち運びやすく、いろんなバックパックに取り付けることができるのは、ミレーのヘルメットホルダーです。
特に使い勝手の良さに優れています。
まとめ
この記事では登山用ヘルメットについて、下記内容を徹底解説しました。
- 登山用ヘルメットが必要な理由
- 登山用ヘルメットを選ぶ判断基準
- 自転車用のヘルメットとの違い
- 私のおすすめ登山用ヘルメット
特にオススメなヘルメットは下記になります。
- 安さ重視➝モンベルの「アルパインヘルメット」
- 私のイチオシ➝グリベルの「サラマンダー2.0」
- 女性にオススメ➝ペツルの「ボレア」
- 最軽量モデル➝ペツルの「シロッコ」
- デザイン重視➝グリベルの「ミュータント」
ぜひ自分に合った、ヘルメットを見つけて登山ライフを楽しんでください~