【冬の低山】雪がなくてもチェーンスパイクは必須?元店員が教える「お守り」としての活用法

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ポレ鳥(ぽれとり)

「高尾山からキリマンジャロへ」

登山歴8年・元登山ショップ店員。 近所の里山歩きから、憧れの海外登山まで。初心者が一歩ずつステップアップするためのノウハウを丁寧に解説します。

はじめに

「冬の低山に登ってみたいけど、雪なんて降ってないし、チェーンスパイクっていらないよね?」

「ただでさえ荷物が増える冬に、鉄の爪なんて持って行くのは重いし…」

冬のハイクを計画していると、必ずこの疑問にぶつかりますよね。

結論から言ってしまうと、

「雪がなくても、冬はチェーンスパイクをザックに入れておくべき」です。

私も登山を始めた頃は「雪山=ガチ装備」と思って敬遠していましたし、「高尾山くらいならスニーカーでいいでしょ」と思っていました。でも、実は冬の低山こそ、アイゼン(スパイク)がないと一番怖い場所なんです。

今回は、元登山用品店スタッフとしての経験と、私自身の失敗談も交えながら、初心者の方に向けて「なぜ雪がないのにお守りが必要なのか?」を分かりやすく解説します。

結論:雪がなくても「持っていくべき」明確な理由

「雪がないなら滑らない」というのは、冬山における最大の誤解です。

なぜなら、冬の山には「雪以外の滑る敵」がたくさん潜んでいるからです。

  • 朝夕の冷え込みによる凍結
  • 北側斜面に残ったガチガチの氷
  • 日陰に潜む「薄いアイスバーン」
  • 木道や木段の霜(しも)

真っ白な雪道なら「滑りそうだな」と警戒できますが、冬の低山では「普通の土の道に見えて、実はカチカチに凍っている」という場所が頻発します。

転倒や滑落事故は、雪山全体ではなく、この予期せぬ「たった一か所」で起きます。

だからこそ、チェーンスパイクは「雪山用」ではなく、「冬山全般の安全装置」として持っていく必要があるのです。

チェーンスパイクは「冬の保険」。使わなくてもOK!

「せっかく買ったのに、一度も使わなかった…」

初心者の頃、私はこれを「損した」と思っていました。

でも、今はこう考えています。

チェーンスパイクは「使わないことを祈りながら持つお守り」だと。

項目チェーンスパイクの役割
重さ200g〜300g(スマホ1.5台分くらい)
役割転倒・骨折のリスクをゼロに近づける
感覚レインウェアや非常食と同じ「保険」

ザックの底に入っているだけで、「もし凍っていても大丈夫」という圧倒的な心の余裕(安全マージン)が生まれます。

  • 使わなかったら? → 「ラッキー!良い山行だった!」
  • 使う場面が来たら? → 「持っててよかった!命拾いした!」

どちらに転んでも、あなたにとってプラスにしかなりません。

「雪はないのに必要になる」恐怖の3パターン

具体的に、どんな場面で「詰んだ…」となりやすいのか。元店員時代にお客様からよく聞いた(そして私も経験した)典型的なパターンを3つ紹介します。

1. 朝一番の「木道・木橋」

朝の冷え込みで、登山口付近の木の橋や階段が、霜でツルツルになっていることがあります。登り始めの元気な時こそ、不意打ちで転びやすいポイントです。

2. 日が当たらない「北側斜面」

南側はポカポカ陽気で乾燥しているのに、山の裏側(北側)に入った瞬間、地面が凍りついていることがあります。「山頂までは普通に行けたのに、下山ルートだけ凍っていた」というパターンがこれです。

3. 魔の「解けかけ→再凍結」

一番怖いのがこれです。

日中の日差しで雪や氷が少し溶け、夕方の冷え込みで「表面が濡れた氷(ブラックアイスバーン)」に変わる現象です。

これに遭遇すると、登山靴のグリップ力だけでは太刀打ちできません。ここでチェーンスパイクがないと、手すりにしがみついて半泣きで降りることになります(経験者は語る…)。

元店員が教える!初心者の「勘違い」Q&A

私がショップで働いていた時、お客様との会話でよくあった「勘違い」を整理しました。

❌️「雪が見えないから大丈夫でしょ?」

→ 氷は見えないことのほうが多いです。
落ち葉の下に氷が隠れていたり、黒い土に見えて実は凍っていたりします。

❌️「他の登山者がつけてないから大丈夫でしょ?」

→ 事故は「あなたのその一歩」で起きます。
周りの人がつけていないからといって、その道が安全とは限りません。自分の身は自分で守るのが鉄則です。

❌️「軽アイゼン(4本爪・6本爪)の方が安全じゃない?」

→ 低山ならチェーンスパイクの方が歩きやすいです。
爪が長いアイゼンは、雪のない岩場や木の根に引っ掛けて転倒するリスクがあります。ミックス帯(土と氷が混ざった道)では、スニーカー感覚で歩けるチェーンスパイクに軍配が上がります。

失敗しないチェーンスパイクの選び方 3つのポイント

Amazonなどで探すと格安品もたくさんありますが、選ぶときは以下の3点をチェックしてください。

  1. ゴムの厚み(耐久性)安いモデルはゴムが薄く、歩行中に切れてしまうことがあります。ここが寿命の分かれ目です。
  2. スパイクの長さ(爪の長さ)低山用なら、爪は短めでOK。長すぎると岩場で浮いてしまい、逆に歩きにくくなります。
  3. 装着のしやすさ冬山では、かじかんだ手で装着することになります。「サッと履けるか」は超重要ポイントです。

元店員が厳選!おすすめチェーンスパイク1選

「まずは一回試してみたい」「予算を抑えたい」という方向けの入門モデル。

価格は手頃ですが、必要十分な機能を持っています。

サンシグマ アイゼン チェーンスパイク

  • 初心者でも簡単に取り付け可能: この19ジョーアイゼンは、初心者でも簡単に取り付けられます。
  • 軽量:片側6.6オンス(195グラム)、両足で約14.1オンス(400グラム)
  • 耐久性と耐腐食性に優れた素材を使用:ゴム本体には環境に優しいTPEゴムを採用。爪は軽量で錆びにくいSUS304ステンレス鋼を使用。チェーンは耐久性のあるSUS202ステンレス鋼を使用。

最後に:実際の使い方と収納テクニック

最後に、現場で慌てないためのちょっとしたコツをお伝えします。

  • 「滑りそう」と思ったら即装着「まだいけるかな?」と粘るのが一番危険です。
  • 乾いた道ではこまめに外す雪のないアスファルトや岩場を長時間歩くと、爪が曲がったりチェーンが切れたりする原因になります。
  • 収納袋は「ジップロック」が最強。付属の袋に入れる前に、泥だらけのスパイクをジップロックに入れましょう。これでザックの中が汚れるのを防げます。
  • 帰宅後は必ず乾かす濡れたまま放置すると、驚くほどすぐに錆びます!

まとめ

  • 結論:雪がなくても、冬はチェーンスパイクを「お守り」として持つべき
  • 理由:見えない凍結、朝夕の冷え込みが危険だから
  • 選び方:低山なら爪が短く、ゴムが丈夫なものを

チェーンスパイクは、数千円で「安全」と「安心」が買える、非常にコスパの良い装備です。

この冬はザックにお守りを忍ばせて、澄んだ空気の低山ハイクを楽しんでくださいね!