【2026年トレンド】「山間リトリート」で癒やされる!ヘリノックスのチェアで飲む山コーヒーの始め方

プロフィール
この記事を書いた人
ポレ鳥(ぽれとり)

「高尾山からキリマンジャロへ」

登山歴8年・元登山ショップ店員。 近所の里山歩きから、憧れの海外登山まで。初心者が一歩ずつステップアップするためのノウハウを丁寧に解説します。

はじめに


「ハァハァ……あと何分で山頂?」
「コースタイムを巻かないと、帰りのバスに間に合わない!」

週末の登山道。すれ違う登山者たちの顔を見て、ふと思うことはありませんか?

「みんな、楽しむために来ているはずなのに、なぜそんなに苦しそうなの?」と。

かつて登山ショップで働いていた頃、お客様から最も多く聞かれた質問は「どれが一番早く・軽く登れる道具ですか?」というものでした。

もちろん、安全のためにスピードや軽量化を追求することは重要です。

しかし、私たちは普段、仕事や生活で常に「結果(成果)」や「効率(タイパ)」を求められ続けています。

それなのに、癒やしを求めて来たはずの山でさえ、「登頂」という結果や、「標準タイムより早く歩く」という効率に追われてしまっては、心が休まる暇がありません。

そこで今回提案したいのが、2026年に向けて新たなスタンダードになると予測される「山間リトリート(Mountain Retreat)」というスタイルです。

これは、「山頂を目指さない勇気」を持ち、**「山という極上の非日常空間に、自分だけのリビングを作る」**という新しい楽しみ方です。

この記事では、疲れた心を解きほぐす「山間リトリート」の具体的な始め方から、その時間を最高のものにする「ヘリノックスのチェア」と「至高の山コーヒー」の楽しみ方まで、元店員の視点で徹底的に深掘りして解説します。

2026年の新潮流「山間リトリート」とは?

「ピークハント」から「リトリート」へ

これまでの登山の主流は、間違いなく「ピークハント(登頂)」でした。

百名山制覇や、標高への挑戦。それはスポーツとしての達成感があり、素晴らしいものです。

しかし、それは同時に「競争」や「自己への厳しさ」を伴うものでもありました。

一方で「リトリート(Retreat)」とは、本来「転地療養」や「隠れ家」を意味する言葉です。

日常から物理的に距離を置き、静かな場所で心身をリセットする過ごし方を指します。

ヨガや瞑想の文脈で使われることが多いですが、これを山に持ち込んだのが「山間リトリート」です。

キーワードは「Doing」から「Being」へ

社会のスピードは加速する一方です。

SNSを開けば情報の洪水、仕事では即レスが求められる。そんな「常時接続(Always on)」の状態に、私たちの脳は悲鳴を上げています。

これから人々がレジャーに求める価値観は、以下のようにシフトしていくでしょう。

  • Doing(何かをする・達成する)Being(ただそこに在る・感じる)
  • タムパ(時間対効果)時空の拡張(時間の流れを忘れる)
  • 消費再生

山は、強制的にデジタルデトックスができる数少ない場所です。

そこで「頑張って登る」のではなく、「自然の一部になって溶け込む」。

この癒やし効果は、最高級ホテルのスパにも勝るものです。

地面をリビングに変える魔法の椅子

Helinox チェアゼロ

  • 相場:15,000円〜19,000円
  • サイズ:幅52×奥行き48×高さ64cm
  • 重量:490g
  • スタッフバッグ付き

山間リトリートを成功させる最大の鍵。

それは「居心地の良さ(Comfort)」の確保です。

ゴツゴツした岩場や湿った地面に座っていては、リラックスなどできません。

そこで私が自信を持っておすすめするのが、Helinox(ヘリノックス)の「チェアゼロ」です。

なぜ「座布団」ではなく「椅子」なのか?

多くの登山者は、軽量化のために折りたたみ式の座布団(ウレタンマット)を使います。

しかし、リトリートを目的にするなら、絶対に「背もたれのある椅子」が必要です。

  1. 視線の高さが変わる 地面に座ると、どうしても視線が下がり、草木に視界を遮られがちです。椅子に座ることで視線が30cmほど高くなり、景色がより立体的かつパノラマに広がります。
  2. 背中のリラックス 座布団では、体幹を支えるために腹筋や背筋を使い続ける必要があります。背もたれに体重を預けられることで、初めて全身の筋肉が弛緩し、本当の意味での休息が訪れます。
  3. 寒さ対策 地面からの底冷えは想像以上に体力を奪います。地面から距離を取ることで、冷気や湿気を物理的に遮断できます。

元店員が語る「チェアゼロ」の凄さ

「椅子なんて重いし邪魔じゃない?」 そう思う方にこそ知ってほしいスペックがこれです。

⇒例えば、これ

リトリートポイント:

  • 驚異の軽さ(490g) 500mlのペットボトル1本分より軽いです。スタッフバッグ込みでも510g。これを「重い」と言うなら、水を500ml減らしてでも持っていく価値があります。
  • DACポールの信頼性 ヘリノックスの母体は、世界中のハイエンドテントのポールを製造するDAC社です。細くても折れない強靭なアルミ合金(TH72M)技術が詰め込まれています。耐荷重は120kg。大柄な男性が座っても、きしみ音ひとつしません。
  • ハンモックのような座り心地 座面がフレームから吊り下げられている構造のため、お尻や腰を優しく包み込みます。岩場の上でも、椅子の水平さえ取れれば、そこは高級ソファの上と同じです。

安価な類似品(コピー商品)も多数出回っていますが、接続パーツの精度や布地の耐久性、そして何より「軽さ」において、本家ヘリノックスには及びません。

定価で1万円台後半(※執筆時)は決して安くありませんが、「どこへ行っても絶景の特等席が確約されるチケット」だと思えば、10回使えば1回あたり1,000円台。カフェ代と変わりません。

五感で味わう「チタンマグ & 山コーヒー」の儀式

チタン シングルマグ

  • 【サイズ】φ76.2×82mm
  • 【重量】50g
  • 【容量】300ml
  • 【メーカー品番】MG-142
  • 【素材】チタニウム

椅子に深く腰掛けたら、次は「儀式」の時間です。 最高の椅子には、最高のコーヒーが必要です。

ここでこだわりたいのが、軽くて丈夫なチタン製マグカップ(Snow Peakなどがおすすめ)。

なぜ、ステンレスではなく「チタン」なのか?

100均やホームセンターで買えるステンレスマグやアルミマグではなく、あえて高価なチタンを推すのには、リトリートならではの理由があります。

⇒例えば、これ

リトリートポイント:

  • 金属臭がしない(味覚) チタンはイオン化しにくい、非常に安定した金属です。ステンレスや鉄のような特有の金属臭(金気)が一切しません。そのため、コーヒー豆本来の繊細な酸味やフルーティーさを、ごまかしなくダイレクトに味わえます。
  • 優しい口当たり(触覚) チタンは熱伝導率が低い素材です。アルミやステンレスのカップだと、熱湯を入れると飲み口まで熱くなりすぎて唇を火傷しそうになることがありますが、チタンは熱が伝わりにくいため、口当たりが優しく、コーヒーの温度に集中できます。
  • 一生モノの耐久性 海水につけても錆びないと言われるほどの耐食性を持っています。使い込むほどに表面の酸化皮膜が変化し、独特の渋い色合い(経年変化)が出てくるのも魅力。「自分だけの道具」に育てる楽しみがあります。

シングルウォール vs ダブルウォール

チタンマグには2種類あります。

  • シングルウォール(一重構造): 直火にかけられる。冷めたらバーナーで温め直しが可能。とにかく軽い。
  • ダブルウォール(二重構造): 保温性が高い。直火は厳禁(破裂するため)。結露しにくい。

リトリート派には、時間をかけてゆっくり飲むため「ダブルウォール」をおすすめしたいところですが、荷物を減らして現地でお湯を沸かすことも兼ねるなら「シングルウォール」が万能です。

実践!「山間リトリート」の場所選びと過ごし方

道具が揃ったら、いざ山へ。 しかし、どの山でも良いわけではありません。

「リトリート」に適した山の選び方と、過ごし方のルールがあります。

場所選びの3つの条件

ピークハントではないので、「標高が高い山」や「有名な山」を選ぶ必要はありません。以下の条件で探してみましょう。

  1. 「広場」や「ベンチ」があるか 山頂が狭い岩場だと、椅子を広げるスペースがありません。中腹の展望台や、峠(〇〇乗越)、あるいは山頂が広い台地状になっている山を選びます。
  2. アクセスが良い低山 移動で疲れてしまっては本末転倒です。ロープウェイを使って中腹まで行ける山や、登山口から1〜2時間で景色の良い場所に到着できるコースがベストです。
  3. 人が少なめな「マイナーな絶景」 有名な百名山は混雑します。地元の里山や、ハイシーズンのメジャーな山をあえて外したエリアが狙い目です。

タイムスケジュール(例)

例えば、往復3時間の低山に行く場合。

  • 09:00 入山: 遅めのスタートでOK。朝日を浴びながらゆっくり歩き出す。
  • 10:30 目的地到着: 頂上ではなく、途中の見晴らしの良い平らな場所でストップ。
  • 10:40 設営(Set up): ヘリノックスを広げ、靴紐を緩め、アウターを羽織る。
  • 11:00 コーヒータイム: お湯を沸かし、丁寧にドリップ。お気に入りのスイーツと共に。
  • 11:30 何もしない時間: ここが重要です。スマホを「機内モード」に設定します。
    • 雲の流れを目で追う。
    • 鳥の声に耳を澄ます。
    • 読みたかった本を数ページ読む。
    • そのまま15分ほど昼寝(ナップ)する。
  • 13:00 撤収・下山開始: 「まだ居たい」と思うくらいで帰るのがコツ。
  • 14:30 下山・温泉へ: 麓の温泉で汗を流してフィニッシュ。

マナーと注意点

自由なスタイルだからこそ、マナーは厳守です。

  • 植生保護: 椅子を置くときは、高山植物を踏まないよう、裸地や岩の上を選びましょう。椅子の足に付ける「ボールフィート(沈み込み防止キャップ)」があると、地面へのダメージも防げます。
  • 通行の妨げにならない: 登山道の真ん中はNG。必ず登山道から少し外れた、安全なスペースを確保してください。

おわりに:次の休みは「登らない勇気」を

「山間リトリート」は、逃げではありません。

それは、情報過多な現代社会において、自分自身を取り戻すための積極的な戦略です。

2026年、登山のトレンドは確実に変わります。 誰かと競うのではなく、タイムを縮めるのでもなく。 ただ、お気に入りの椅子に座り、風を感じ、コーヒーの香りに包まれる。

そんな「何もしない贅沢」を知ってしまったら、もう元の慌ただしい登山には戻れないかもしれません。

初期投資としてヘリノックスやチタンマグは少し勇気がいりますが、一度この「座って何もしない時間」を体験すると、もうマット(座布団)には戻れません。

それはモノを買うのではなく、「豊かな時間」を買うということだからです。

さあ、今度の休日は、ザックにヘリノックスを忍ばせて。 頂上を目指さない、あなただけの旅に出かけてみませんか?

山でお会いしたら、お互いに椅子に座ったまま、コーヒー片手に乾杯しましょう。