はじめに
2026年5月、富士山の山小屋予約戦線は熾烈です。
御来光館は5月11日正午、白雲荘は5月1日、太子館は5月11〜14日に予約開始。多くの人気山小屋が5月の連休明けから予約受付を開始し、お盆や週末の人気枠は数時間で埋まるのが実情です。
もし、予約しようとして、
・希望日が満員だった・・
・これから登山計画を立てたいけど予約はもう難しそう・・
そんな状況なら、この記事は役に立つはずです。
そもそも2026年の富士山は、山小屋予約がないと事実上ご来光登山ができない構造になっています。だからこそ、予約に出遅れた人がどう動くかは切実です。
ここでは現実的な5つの選択肢を、順番に整理していきます。
なぜ2026年は山小屋予約が事実上必須になったのか
選択肢を考える前に、状況を正確に押さえておきます。
吉田ルート(山梨)の場合
午後2時〜翌午前3時はゲート閉鎖。この時間帯に通れるのは山小屋予約者のみ。1日あたりの登山者数も4,000人が上限で、超えるとゲートが閉まります。
静岡県側3ルート(富士宮・須走・御殿場)の場合
午後2時〜翌午前3時の入山には山小屋宿泊予約が必須。人数上限はないものの、現地で山小屋予約の有無が確認されます。
つまり、ご来光を山頂で見るには深夜登山が必要で、その深夜登山には山小屋予約が必須、という構造です。山小屋予約がない=14時前までに登山開始する以外に手段がないということになります。
①キャンセル待ちを狙う
予約初日に取れなかった日程でも、キャンセルで空きが出ることはあります。
空室の確認方法
吉田ルートの場合、富士山吉田口旅館組合が運営する「富士山吉田口山小屋空室状況一覧」で、各小屋の空き状況や予約方法を確認できます。
シーズンインの7月以降に各小屋の空室情報が反映されるので、シーズン前は各山小屋の公式サイトで個別に予約状況をチェックする必要があります。
静岡県側の小屋は、各小屋の公式サイトを個別に確認するのが基本になります。
キャンセルが出やすいタイミング
第一に、天候不良の予報が出た直後。3〜5日前の天気予報で雨が予想されると、キャンセルが集中する傾向があります。
第二に、直前(前日〜当日)。多くの山小屋でキャンセル料が前日〜当日に100%になるため、直前まで悩んでいた人がキャンセルすることがあります。
第三に、多重予約が淘汰される時期。お盆など人気日程の予約は重複予約が多いので、本人の予定確定とともに余分な予約がキャンセルされる時期があります。
注意点:2026年のキャンセル料事情
2024年以降、多くの山小屋が予約時点から5%のキャンセル料を導入しました。背景は、業者・転売目的の重複予約や、無断キャンセルの増加です。
具体例として、太子館・鎌岩館・江戸屋・白雲荘などが申込時点から5%のキャンセル料。他にも多くの山小屋が同様のポリシーを採用しているので、予約前に各山小屋の規定を必ず確認してください。直前のキャンセル料は2週間前から20〜30%、当日100%となる小屋が多いです。
つまり、自分が予約済みでキャンセルしたい場合も、キャンセル待ちで取れた場合も、「キャンセル料を理解したうえで予約する」前提で動く必要があります。
②ツアーで山小屋付きパッケージを取る
これが2026年の出遅れ組にとって、最も現実的な選択肢のひとつです。
旅行会社は山小屋と団体契約で枠を確保しているため、個人で取れない日程でもツアーなら取れる場合があります。
さらに、ツアー会社が団体で通行許可を取得しているため、入山料の事前手続きが不要なツアーもあります(クラブツーリズムなど)。出遅れた個人にとっては、予約・手続き両面で時間を短縮できる選択肢です。
主な富士登山ツアー会社
富士登山ツアーを扱う主な会社は次の通りです。
①クラブツーリズム
参加者10名につき1名の登山ガイドが同行する少人数制が特徴。吉田ルート、富士宮ルート、プリンスルートに対応。
②クラブゲッツ
富士登山専門ツアー会社。八合目山小屋指定プランで2万300円〜3万8,100円(入山料込/別を選択可能)。
③HIS
新宿発の吉田ルート、富士宮ルートのツアーを企画。少人数制プランもあり。
④JTB
参加者12名につき1名のスタッフ同行。
⑤読売旅行
2泊3日のゆとりプランあり。
⑥ビーウェーブ
富士登山専門ツアー会社。
その他、トラベルロード、Yamakara、VIPツアー、旅プラスワン、ジャムジャムツアーなど多数の会社が富士登山ツアーを企画しています。
ツアーのメリット
第一に、山小屋がほぼ確実に確保できる。 第二に、現地までの交通(バス)込みで手配が楽。 第三に、ガイド付きコースなら初心者でも安心。 第四に、入山料の通行予約手続きが不要(団体扱い)。 第五に、装備レンタル込みのプランもあり、装備購入を回避できる。
ツアーのデメリット
第一に、料金が個人手配より高い。1泊2日のツアーは2万円台〜4万円台が中心で、これに入山料4,000円が別途必要なケースが多い。 第二に、日程の自由度が低い(決められた日程・ルートに合わせる必要)。 第三に、団体行動になるので自分のペースで歩けない場合がある。 第四に、入山料込み/別の扱いがツアーによって異なるため、申込時に確認が必要。
富士山登山ツアーがオススメな人
- 「ご来光をとにかく見たい・山小屋確保最優先・多少の出費は許容」ならツアー
- 「自分のペースで登りたい・費用は抑えたい・山小屋がなくても日帰りでも」なら個人手配
[関連記事:富士山ツアーで山小屋確保する選択肢|個人手配との費用・難易度比較]
③山小屋なしで日中に登り、日中に下山する
ご来光を諦める代わりに、日中登山という選択肢があります。
この選択肢が成立する条件は3つあります。
第一に、14時前にゲートを通過すること。これが大前提です。早朝5〜6時に五合目を出発し、午前中に頂上、午後早めに下山する流れになります。
第二に、体力があること。山小屋で休まずに往復10時間程度を一気に歩くのは、ハードな日帰り登山です。普段から登山経験がある人向けです。
第三に、装備チェックをクリアすること。吉田ルートは2026年から装備チェック必須で、防寒具・セパレート雨具・登山靴が揃っていないと入山できません。
日中登山のメリット
第一に、山小屋予約が不要。第二に、宿泊費が浮く(12,000〜17,000円が節約)。第三に、混雑が比較的少ない時間帯(早朝〜午前)に動ける。
日中登山のデメリット
第一に、ご来光は見られない。第二に、高山病リスクが上がる(高度順応時間がない)。第三に、1日でやり切る必要があるので、体力面の負担が大きい。第四に、下山時刻が遅れると14時のゲート閉鎖に巻き込まれる可能性がある(下山は通行可能だが、混雑時の影響を受ける)。
朝5〜6時の早朝バスで五合目に着き、1時間ほど高度順応してから登山開始。山頂到着は11〜12時頃。1〜2時間の滞在後、下山開始して17時頃に五合目到着、という時間配分が現実的です。
④平日・シーズン早期/後期を狙う
予約戦線が混むのは、週末・お盆・お盆周辺の連休だけです。
混雑回避、予約しやすい、宿泊費が割安なケースが多い、登山道で渋滞しにくいというメリットがある一方で、有給休暇が必要、天候が読みにくい時期もあることがデメリットです。
平日やシーズン外縁を狙うと、予約のハードルは大きく下がります。
狙い目の日程
第一に、7月初旬〜中旬。開山直後の週で、まだ夏休みが始まっていないため空きが多めです。ただし梅雨明けが遅れる年は天候が不安定。
第二に、9月初旬。シーズン最後の1〜2週で、登山者は減ります。気温は下がるものの、装備さえしっかりしていれば問題ありません。
第三に、平日(火曜・水曜・木曜)。週末を避けるだけで予約が取りやすくなります。
避けるべき日程
第一に、お盆(8月11〜16日前後)。第二に、その前後の週末。第三に、海の日連休、山の日連休。これらは予約初日の数時間で埋まる激戦区です。
⑤富士山以外の別の山に切り替える
最後の選択肢として、富士山以外の山も検討する価値があります。
理由は、富士山に登ることで得たい体験
- 頂きから景色を見る
- 達成感を得る
- 初めての本格登山
は、必ずしも富士山でなくても得られるからです。
初心者向けの代替候補
夏山の選択肢として、北アルプスの燕岳・蝶ヶ岳、八ヶ岳の赤岳、南アルプスの仙丈ヶ岳、上信越の谷川岳。標高2,500〜3,000m級で、山小屋もあり、絶景が広がる山々です。
これらの山なら、富士山のような厳密な予約必須や入山料制度はありません(一部の小屋は予約必須ですが、富士山ほど熾烈ではない)。
ただし、富士山にしかない体験(ご来光、富士山という山そのもの、3,776mという日本最高地点)もあるので、「今年は他の山、来年こそ富士山」という選択もありなのかなと思います。
まとめ
予約に出遅れた人が取れる5つの選択肢を整理しました。
| 選択肢 | 向いている人 | 主な負担 |
|---|---|---|
| ①キャンセル待ち | 日程の自由度がある、根気がある | 時間と労力 |
| ②ツアー利用 | 予算に余裕、確実性最優先 | 費用2万円台〜4万円台+ |
| ③日中登山(山小屋なし) | 体力がある、ご来光こだわらない | 体力 |
| ④平日・シーズン外を狙う | 有給が取れる | 休暇調整 |
| ⑤別の山に切り替える | 富士山に強くこだわらない | 計画変更 |
最優先の対応として、第一にまずキャンセル待ち空室確認サイトを毎日チェックしつつ、第二に並行してツアー会社のパッケージをいくつか問い合わせ、第三にそれでも難しければ日程を平日・9月にずらすか、別の山に切り替える、という順番で動くのが現実的です。
2026年の富士山は、過去ほど「ふらっと行く」ことが難しい山になりました。逆に言えば、ちゃんと準備して臨めば、安全に登れる仕組みが整ってきた山でもあります。自分にとっての最適な選択肢が見つかれば嬉しいです。


