はじめに
「五合目までバスで行ったのに、ゲートで入山を拒否された」
2026年の富士山では、これが起こり得ます。
山梨県の吉田ルートでは、五合目で装備チェックが実施されています。防寒具・上下セパレート式の雨具・登山に適した靴のうち、ひとつでも欠けているとゲートを通過できません。富士山レンジャーが現地で確認し、装備不十分と判断された場合は入山を拒否される、というのが2026年のルールです。
つまり、いままで「コンビニのカッパで登った」「スニーカーで五合目から登った」という人は、もう同じやり方では登れません。
この記事では、ゲートで弾かれないための必須3点と、その他の装備一式を整理します。私自身が登山歴10年で使ってきた経験と、複数の公式情報を踏まえた内容です。初めての富士登山の人にとって、最低限の出費でリスクを下げる参考になれば嬉しいです。
装備チェックで確認される3点

まず、ゲート通過のために絶対に必要な3点を押さえます。
①防寒具
山頂は真夏でも気温0℃近くまで下がり、風が吹けば体感温度はさらに低くなります。フリースや薄手のダウンが必要です。
②上下セパレート式の雨具
ポンチョや使い捨てのビニールカッパは不可。富士山では雨が横や下から吹き付けるため、ポンチョではすぐにずぶ濡れになります。ゴアテックスなど透湿防水素材の上下別タイプが求められます。
③登山に適した靴
スニーカーは不可。富士山の登山道は岩場・砂利・砂礫が続き、足首をしっかり固定するミッドカット以上の登山靴が必要です。
この3点は、五合目のゲート前で富士登山適正化指導員が目視で確認します。揃っていない場合、その場で引き返すか、近隣のレンタルショップに駆け込むかの判断を迫られます。
防寒具の選び方
山頂の気温と装備の関係を、まず押さえます。
7〜8月の富士山頂は、平均最低気温が5〜6℃、最低記録は氷点下になることもあります。ご来光を待つ早朝、山頂で30分〜1時間動かずに立っていると、体感温度はさらに下がります。
防寒具として推奨されるのは、薄手のダウンジャケットまたはフリース。両方持参して重ね着するのが理想です。
ダウンは保温性が高く、コンパクトに収納できる利点があります。モンベルの「スペリオダウンジャケット」やユニクロの「ウルトラライトダウン」など、1万円前後で揃います。ただし濡れに弱いので、雨具と組み合わせて使う前提です。
フリースは多少濡れても保温性が落ちにくく、汗をかいた時の調整役にも使えます。1着あると重宝します。
避けるべきなのは綿(コットン)素材。乾きが遅く、汗で濡れた綿を着続けると体温を奪い、低体温症のリスクが上がります。Tシャツや下着もポリエステルやウールなど化繊・天然繊維の機能性素材を選んでください。
レインウェア(雨具)の選び方
装備チェックで最も誤解されやすいのが雨具です。
ポンチョ、ビニールカッパ、レインコート、これらはすべて装備チェックで認められません。理由は3つあります。
- ①富士山は強風で雨が横から降る、または下から吹き上げる環境のため、ポンチョでは足元やお腹が濡れます。
- ②ビニール素材は透湿性がないため、内側が汗で蒸れて結局濡れます。
- ③強風時にポンチョが煽られてバランスを崩す危険があります。
選ぶべきは、上下セパレート型の登山用レインウェアです。
選び方のポイントは3つ。
- ①素材。ゴアテックス、または同等の防水透湿素材。耐水圧20,000mm以上が目安です。
- ②上下別。ジャケットとパンツが別になっているタイプ。
- ③登山用であること。釣り用・バイク用・自転車用の雨具は、登山には不向きな仕様(ポケット位置、フードの形状、腰回りの動きやすさなど)です。
価格帯は、ファイントラックやミレー、モンベルなどで上下セット2〜4万円。初心者向けの1万円台のセットでも装備チェックは通過できますが、長く登山を続けるなら最初から3万円前後の中位機種を買うほうがコスパが良いです。
そんなに登山をしないなら、レンタルが現実的です。1泊2日で2,500円程度から借りられます。
登山靴の選び方
装備チェックで「登山に適した靴」と認められるのは、ミッドカット以上の登山靴です。ローカット(くるぶしが出るタイプ)の登山靴も装備チェックは通過する可能性がありますが、富士山の岩場・砂利では足首を捻りやすいので、ミッドカット以上が安全です。
選ぶときのポイントは4つ。
- ①足首を覆うミッドカット〜。登山道が岩や砂利が多く、足首固定が安全に直結します。
- ②防水性。ゴアテックス内蔵モデルが理想。
- ③靴底のグリップ。ビブラムソールなど滑りにくいソールがついているもの。
- ④必ず事前に履き慣らすこと。新品の靴で初登山に挑むと、ほぼ確実に靴擦れになります。
価格帯は、モンベル・キャラバン・ローバー・スカルパなどで2〜5万円。レンタルは1泊2日で2,500〜4,000円程度。
レンタルする場合は、サイズが合わないリスクがあるので、事前にレンタルショップで試着しておくのが安全です。
装備チェック以外の必須装備
ゲートチェックには含まれませんが、登山中に必須となる装備があります。
ヘッドライト
ご来光登山では深夜2〜3時に山小屋を出発するため、ヘッドライトは必需品です。懐中電灯では両手が塞がるため使えません。
選び方のポイントは、明るさが200ルーメン以上、防水性能IPX4以上、予備電池が用意できること。ブラックダイヤモンドのスポット、ペツルのアクティック、マイルストーンのMS-G3などが2,000〜6,000円で手に入ります。
ヘッドライトの詳しい選び方は別記事で書いているので、迷ったら参考にしてください。
関連記事:【2026年】最強の登山ヘッドライトは?登山歴10年の私のランキング3選!
関連記事:【9種比較】2026年|ブラックダイヤモンドのヘッドライトの王者は?
ザック
容量は1泊2日のテント泊なら30〜35L、山小屋泊なら25〜30Lが目安です。
選ぶときは、腰ベルト(ヒップベルト)付きで腰荷重ができるタイプを選んでください。肩だけで背負うタイプは、長時間の登山で肩・首が極端に疲労します。
モンベル、グレゴリー、ドイター、オスプレーなどから1〜3万円で揃います。レンタルは1泊2日で1,500〜2,500円程度。
トレッキングポール
富士山の下山道は、延々と続く砂利のジグザグ道が3時間以上続きます。膝への衝撃が大きく、下山中に膝痛で動けなくなる人を毎年見ます。
トレッキングポール(ストック)は、下山時の膝負担を腕に分散してくれます。初めて富士山に登る人ほど効果を実感する道具です。
LEKI、ブラックダイヤモンドなどから5,000〜15,000円。レンタルは1泊2日で500〜1,000円程度。
行動食・水
行動食は、おにぎり、パン、チョコレート、ナッツ、ようかん、グミなど、すぐに食べられて糖分と塩分が補給できるものを2〜3食分。
水は、登山開始時に1.5〜2L。山小屋でも購入できますが、500mLで500円前後と高めです。マイボトルやハイドレーションシステムを使うと環境にも財布にも優しい。
トイレ用の小銭
富士山のトイレはすべて有料で、1回200〜300円のチップ制です。山小屋によっては100円玉のみ対応のところもあります。100円玉を20〜30枚用意しておくと安心です。
レンタルか購入か
装備をすべて自前で揃えると10万円近くかかります。一方、フルレンタルなら1泊2日で15,000〜20,000円程度で済みます。
レンタルが向いている人は次のような人です。
- 第一に、富士登山が今回限りで、今後登山を続ける予定がない人。
- 第二に、装備にお金をかけずに体験を優先したい人。
- 第三に、装備の選び方が分からず、迷うくらいなら借りてしまいたい人。
購入が向いている人は次のような人です。
- 第一に、富士登山をきっかけに今後も登山を続けたい人。
- 第二に、自分の体格・好みに合った装備で快適に登りたい人。
- 第三に、繰り返しレンタル料を払うより、買って長く使いたい人。
折衷案として、必須3点(防寒具・雨具・登山靴)はレンタル、ヘッドライトとザックは購入、という選び方もあります。ヘッドライトとザックは登山以外でも使い道があるからです。
レンタルショップは、やまどうぐレンタル屋、そらのした、富士登山学校などが主要です。多くは宅配でレンタルでき、ツアー会社経由のレンタルも便利です。
まとめ
最後に、五合目に向かう前に確認すべき装備リストをまとめます。
装備チェック必須3点として、防寒具(フリースまたは薄手ダウン)、上下セパレート式雨具(登山用、ゴアテックス推奨)、登山靴(ミッドカット以上、履き慣らし済み)。
その他の必須装備として、ヘッドライト(200ルーメン以上、予備電池)、ザック(25〜35L、腰ベルト付き)、行動食(2〜3食分)、水(1.5〜2L)、トイレ用100円玉(20〜30枚)、手袋(防寒・岩場用)、帽子(つば付き、アゴ紐推奨)。
あると便利な装備として、トレッキングポール、サングラス、日焼け止め、酸素缶、マスク(砂埃対策)、防水バッグ(ザック内仕切り)、着替えの靴下、モバイルバッテリー。
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