はじめに
「海外の山に登る」
そう聞くと、多くの人はエベレストのような極限の世界や、数ヶ月におよぶ長期遠征、あるいは何百万円もの費用がかかる特殊な世界を想像するかもしれません。しかし、私がこのブログやKindle本を通じて伝えたいのは、そんな一部のプロフェッショナルだけの世界ではありません。
この記事では、日本のサラリーマンが、国内登山の延長線上で、初心者の方も十分に楽しむことができる「海外トレッキング」に焦点を当てています。
「いつかは海外の山へ」という夢を、定年後まで取っておく必要はありません。
むしろ、体力と順応力がある「今」こそ、世界を歩くべき理由があります。現役サラリーマンとして月300時間働くこともある私が、いかにして海外のトレイルを歩き、どのような技術で壁を乗り越えてきたのか。そのすべてをここに公開します。
海外の山登りって難しい?
結論から言えば、「国内で1泊2日の登山ができる体力と装備があれば、海外トレッキングは可能」です。
もちろん、標高の高さや言語の違いといったハードルはあります。しかし、技術的な難易度だけで言えば、日本の北アルプスの険しい岩場を歩くよりも、ネパールのトレッキングやアフリカのキリマンジャロの方が、整備された道(トレイル)を歩く時間は長く、技術的な困難さは低いことさえあります。
海外登山の「難しさ」の正体は、技術ではなく「未知に対する不安」と「情報不足」です。その正体を一つずつ解き明かしていきましょう。
海外トレッキングの4つの魅力
なぜ、わざわざ海を越えてまで山を歩くのか。そこには日本国内では決して味わえない、人生を揺さぶる体験が待っています。
- 圧倒的なスケールと、五感を揺さぶる絶景
- 標高5,000mを超える世界では、空の色さえ変わります。音を失ったような静寂、巨大な氷河の崩落音、そして真っ赤な朝日に照らされるヒマラヤの巨峰。そのスケール感は、写真や動画では決して伝えきれません。
- 異文化の中に身を置く、濃密なリアル
- 現地ガイドとの会話、山小屋で出される温かいチャイ、ポーターたちが歌う現地の歌。山を歩くことは、その国の文化と最も深い場所で触れ合うことでもあります。
- 「日常のリセット」としての非日常
- 電波の届かない数日間、太陽とともに起き、日が沈むとともに眠る。仕事のメールもSNSの通知も届かない環境で、自分の呼吸と足音だけに向き合う時間は、現代のサラリーマンにとって究極のデトックスになります。
- 自己成長のプロセス
- 自分で計画を立て、航空券を取り、現地で拙い英語を駆使して交渉する。その過程で得られる「自分で自分の旅を作っている」という感覚は、帰国後の仕事や日常生活においても大きな自信となります。
私の経験
私は現在、東京で働く現役のサラリーマンです。大学時代は山岳部に所属し、日本国内の山々を歩き尽くしてきました。しかし、社会人になり「いつかは海外へ」と考えていた矢先、あることに気づきました。
「世界平均80%というキリマンジャロの登頂率に対し、日本人はわずか50%程度である」という事実です。
その最大の要因は、多くの日本人が仕事に区切りをつけた「定年後」に挑戦を始めるからです。体力と高度順応力が低下してから挑む世界の頂は、あまりにも高い。だからこそ、私は「今」行くことにこだわっています。
これまで、以下のトレイルを歩いてきました。
- アフリカ・キリマンジャロ(5,895m):現地のツアー会社を直接手配し、最安ルートで登頂。
- マレーシア・キナバル山(4,095m):雨季の穴場を狙ったスマートな登山。
- ネパール・ヒマラヤ:マルディ・ヒマールやランタン谷でのティーハウス・トレッキング。
- ニュージーランド:ルートバーン・トラックやマウントクックなどの「グレート・ウォーク」。
- パタゴニア:フィッツロイを仰ぎ見る絶景トレイル。
これらの経験から得た「サラリーマンでも再現可能な海外トレッキングのノウハウ」を、紹介できればと思います。
海外トレッキングの全体像:4つのステップ
海外登山は、大きく分けて以下の4つのステップで進行します。
ステップ① 計画の決定
「どこに、いつ、いくらで行くか」という旅の骨格を作ります。
- やることリスト(箇条書き)
- 期間の設計:移動日、予備日を含めた日程の算出
- 予算の設計:航空券、現地ツアー、装備、保険の概算
- シーズンの調査:現地の乾季・雨季、ベストシーズンの特定
- 難易度の確認:登頂率や標高差、技術的難所の有無
- よくある壁:【カネの壁】
- 「日本の旅行会社を通すと100万円かかる」というイメージがあり、予算で諦めてしまう。
- 壁の解決方法
- 現地直接予約:「現地ツアー会社への直接手配」を行うこと。これにより、中間マージンを排除し、日本の旅行代理店の半額以下で計画することが可能です。これでコストは劇的に下がります。
- エリア選び:ネパールは物価が安く、1日3,000円〜5,000円程度(宿泊・食事)で過ごせるルートもあります。
- 体験への投資:100万円でブランド品を買うよりも、5000mの頂から見る朝日に投資する方が、その後の人生に対するリターン(自信、話題、価値観の変容)は遥かに大きいというのが私の持論です。
- → キリマンジャロの場合:[$1,455で登る!キリマンジャロ登山の費用、難易度、ルート、ツアーなど]
ステップ② 準備(国内)
航空券、宿、許可証の確保と、装備を揃える「実行」のフェーズです。
- やることリスト(箇条書き)
- 航空券の予約:Skyscannerなどを活用した最適ルートの確保
- 許可証・宿の予約:特にNZのDOC小屋などは半年前の予約開始日に確保
- ビザ・書類の手配:E-Visaの申請、イエローカード(黄熱病予防接種)の確認
- 装備のアップデート:ヘッドライトや、高山病薬(ダイアモックス)の入手
- 保険の加入:救援者費用が十分な海外旅行保険(エポスカード付帯+αなど)
- よくある壁:【準備の壁】
- やることが多すぎて、何から手をつければいいか分からず、脳のリソースを削られてしまう。
- 壁の解決方法
- 「3ヶ月前からの逆算スケジュール」に従い、機械的にTODOをこなすこと。
- 「航空券さえ取れば、あとは進むしかない」という状況を先に作ることがコツです。
- → キリマンジャロの場合:[【4STEP】3か月間で初心者がするべき海外登山の準備をまとめてみた!]
ステップ③ 現地移動
空港から登山口まで。異文化・異言語の中を動く、最も神経を使うフェーズです。
- やることリスト(箇条書き)
- 通信の確保:現地SIMカードの購入(カトマンズ空港など)
- 通貨の両替:米ドルと現地通貨の適切なバランスでの準備
- 移動手段の確保:タクシー交渉、国内線フライト、ジープの配車
- 現地スタッフとの合流:ガイドやポーターとのブリーフィング(打ち合わせ)
- 最終物資の調達:ガス缶、行動食、水などの現地調達
- よくある壁:【語学の壁】
- トラブル発生時(フライト遅延や荷物の未着)に、英語で交渉ができるか不安。
- 壁の解決方法
- 「WhatsApp(海外版LINE)」と「翻訳アプリ」を徹底活用すること。現地ツアー会社との連絡はWhatsAppが主流であり、テキストベースであれば落ち着いて翻訳しながらやり取りが可能です。流暢な英語よりも「伝える意思」が重要です。
- → キリマンジャロの場合:[TOEIC500点でも大丈夫!現地ガイドとスムーズに連絡を取る方法]
ステップ④ トレッキング本番
実際の登山。高度順応を意識しながら、自然を全身で楽しみます。
- やることリスト(箇条書き)
- ポレポレ(ゆっくり)の徹底:脈拍を上げすぎない歩行
- 水分補給の管理:1日4リットル以上の水を飲み、高山病を防ぐ
- 体調管理と報告:些細な頭痛や違和感もガイドに共有する
- 環境保護:LNT(Leave No Trace)の精神に基づいた行動
- ガイド・スタッフへのチップ準備:現地の相場に基づいた感謝の表現
- よくある壁:【体力の壁】
- 「自分が高山病になったら?」「途中で歩けなくなったら?」という不安。
- 壁の解決方法
- 「技術ではなく高度順応の科学」を理解すること。キリマンジャロなどの登頂成功は、体力よりも「いかにゆっくり登るか(ポレポレ)」に依存します。自分を追い込まず、ガイドを信頼してペースを委ねることが解決策です。
- → キリマンジャロの場合:[キリマンジャロ登山に「成功」する人と「失敗」する人のたった1つの違いとは?]
おすすめの現地ツアー会社リスト(リンク・連絡先あり)
私が実際に利用し、あるいは徹底的に比較して「ここなら信頼できる」と確信した会社です。日本の代理店を通す前の第一歩として参考にしてください。
- ネパール(アンナプルナ・エベレスト)
- Eastern Light Trek:返信が異常に速く、価格も良心的。カスタマイズにも柔軟に対応してくれます。
- タンザニア(キリマンジャロ)
- Summit 2 Sand Safaris:安全管理が徹底しており、日本人への対応経験も豊富です。
- マレーシア(キナバル)
- Borneo Trails:複雑な小屋予約を含め、スムーズに手配してくれます。
- ニュージーランド
- DOC (Department of Conservation):ツアー会社ではありませんが、NZを歩くならこの公式サイトでの予約がすべてです。
まとめ:世界は、あなたが一番動ける「今」を待っている
「海外トレッキング」は、決して遠い世界の物語ではありません。
正しい情報を持ち、一歩ずつステップを踏めば、現役サラリーマンのあなたにも必ず実現可能です。むしろ、忙しい毎日を送り、プレッシャーの中で戦っているあなたにこそ、5,000mの頂から見る「何もかもがちっぽけに見える景色」を見てほしい。
Beyond the Peakは、あなたの「憧れ」を、明日から始められる「予定」に変えるための場所です。
さあ、次はあなたの番です。バックパックに夢と少しの勇気を詰め込んで、世界へ踏み出しましょう。
キリマンジャロが気になる方はこちら
→ https://tozannosusume.com/386/
ネパールトレッキングが気になる方はこちら
→ https://tozannosusume.com/1351/
ニュージーランドトレッキングが気になる方はこちら
→https://tozannosusume.com/2179/

