はじめに
「富士山に登ってみたい。でも何から始めればいいか分からない」
普段運動していないけれど富士山に挑戦したい、という人にとって、最初のつまずきは「準備の全体像が見えないこと」です。装備?予約?トレーニング?ツアー?どれから手をつければいいのか、ネットで調べると情報が散らばっていて、結局よく分からないまま当日が近づく、というパターンが多いと思います。
この記事では、富士山に初めて登る人向けに、3ヶ月前から当日までの準備To-Doを時系列で整理しました。各ステップで「いつ・何を・なぜやるか」をまとめているので、ロードマップとして使えます。
詳細が必要な項目は、関連記事に深掘りリンクを張っています。順番に進めれば、初めての富士登山も無理なく計画できるはずです。
まず:富士山登山の全体像を3行で
詳細に入る前に、富士登山の全体像を3行で。
第一に、開山期間は2026年7月1日〜9月10日(山梨側)、7月10日〜9月10日(静岡側)の約2ヶ月のみ。
第二に、登山は五合目から山頂までを往復し、ほとんどの人は八合目の山小屋で一泊する1泊2日のスケジュール。
第三に、2026年は入山料4,000円、山小屋宿泊予約必須、装備チェックなど、ハードルが上がっているため準備をなめると登れない。
これを前提に、3ヶ月前から逆算した準備ロードマップを示します。
3ヶ月前(4月〜5月頃):大枠の意思決定

登山日の3ヶ月前は、「いつ・どのルートで・誰と」を決める段階です。ここを早めに決めておかないと、山小屋予約に出遅れます。
To-Do 1:登山日を決める
平日か週末か、開山直後(7月上旬)か繁忙期(お盆)か、9月のシーズン端か。それぞれにメリット・デメリットがあります。
平日は山小屋・登山道とも空いていて快適ですが、会社員には休暇調整が必要。週末・お盆は仲間と行きやすい反面、山小屋予約戦争が最も激しく、ご来光時の登山道が大混雑します。9月上旬は人が減って静かに登れますが、天候が崩れやすく、装備の防寒対応が必要になります。
私自身がもし初めて富士山に登るとしたら、選ぶのは7月中旬の平日です。理由は、山開き直後の混雑が落ち着き、お盆前で山小屋枠も比較的取りやすく、天候も安定している時期だからです。
To-Do 2:ルートを決める
富士山には吉田・富士宮・須走・御殿場の4ルートがあります。初心者なら吉田ルート一択です。
理由は3つ。第一に、山小屋数が他ルートの2〜3倍多く、トイレ・休憩・買い物の選択肢が圧倒的に豊富。第二に、登山道と下山道が分離されているため、混雑時もすれ違いストレスが少ない。第三に、ガイドツアーの大半が吉田ルートを使うため、情報量・経験値が蓄積されている。
「吉田ルートでないルートも見てみたい」という人は2回目以降の富士登山で挑戦する、という順序がおすすめです。
To-Do 3:同行者を決める
初心者の富士登山は、第一に「一人で行く」、第二に「経験者の友人と行く」、第三に「ガイド付きツアーで行く」のいずれかです。
経験者の友人がいない場合、初心者同士で挑むのはおすすめしません。判断ミス時のリスクが大きいからです。経験者がいないなら、ガイド付きツアーを検討してください。詳しくは関連記事を参考にしてください。
To-Do 4:ツアーか個人手配かを決める
ツアーと個人手配のどちらが向いているかは、装備の有無・経験・コスト感で変わります。
ツアーが向くのは、装備を持っていない、初めての登山で個人手配が不安、FUJI NAVI事前登録などの手続きが面倒、山小屋を確実に押さえたい、という人。個人手配が向くのは、装備が一通り揃っている、自分のペースで登りたい、コスト最小化重視、という人です。
出遅れてしまった、、という方は下記の記事がオススメです。
【2026年】富士山の山小屋が満員で予約取れない|お盆・週末をどう乗り切るか、5つの現実的な選択肢
2ヶ月前(5月〜6月頃):山小屋・ツアー予約
ここがロードマップの最大の山場です。山小屋の予約は5月1日から各小屋で順次開始され、人気の白雲荘などは予約開始日の朝に埋まることがあります。
To-Do 5:山小屋を予約する(個人手配の場合)
吉田ルートの八合目には、白雲荘・元祖室・蓬莱館・富士山ホテル・本八合目トモエ館・胸突江戸屋・太子館など複数の山小屋があります。それぞれ予約開始日・料金・収容人数が違うので、第一候補・第二候補・第三候補を決めておくのが現実的です。
予約に出遅れた場合は、キャンセル待ち・「7合目または8合目おまかせ」プラン・平日に日程変更・ツアー利用などの代替手段があります。
【2026年最新】富士山の山小屋一覧と予約開始日カレンダー|ルート別・標高別の選び方ガイド
To-Do 6:ツアーを予約する(ツアー利用の場合)
ツアーは価格帯ごとに6つのゾーンがあります。最安は6,800円(バスのみ)から、プライベートツアーは100,000円超まで。初心者で装備もない人は24,800円〜35,000円の標準帯(バス+ガイド+八合目山小屋指定+装備レンタル)が無難な選択肢です。
【2026年最新】富士山登山ツアー比較|6つの価格帯と、出遅れた人の選び方
To-Do 7:入山料の事前登録を予約する(個人手配の場合)
2026年は入山料4,000円が全ルートで必須です。山梨県側(吉田ルート)は富士登山オフィシャルサイト経由、静岡県側(富士宮・須走・御殿場)は「静岡県FUJI NAVI」アプリ経由で事前登録します。
ツアー利用の場合、入山料の扱いはツアー会社によって違います(代金に含まれる/別途自己負担)。これも関連記事で整理しています。
【2026年最新】静岡県FUJI NAVIとは?富士山の事前登録アプリの使い方|入山証・eラーニング・支払い方法を解説!
2ヶ月前〜1ヶ月前:装備の準備
予約が終わったら、装備に着手します。装備の調達には時間がかかるので、登山日の1ヶ月前までに揃え終えるのが理想です。
To-Do 8:必須装備を確認する
2026年は五合目ゲートで装備チェックが行われ、不十分と判断されると入山できません。山梨県公式が指定する必須装備3点は「防寒具」「上下セパレート式の雨具」「登山に適した靴」です(山梨県公式)。それ以外も含めた装備一式は関連記事の装備リストを参照してください。
【2026年最新】富士山の装備チェック対応リスト|ゲートで弾かれないために必須の3点と、初めての富士登山で揃えるべき装備一式
To-Do 9:装備を「買う」か「借りる」かを決める
装備一式を新品で揃えると5万円〜10万円かかります。ただ、富士山以外でも登山を続ける予定がないなら、レンタルが現実的です。
レンタルの大手「やまどうぐレンタル屋」の場合、6点セット12,400円〜、7点セット14,900円〜、12点フルセット21,900円〜という価格帯。レンタル品は登山日の3日前頃に自宅に届き、登山後に返送する流れです。
ツアーによっては装備レンタルが標準セットされていたり、提携レンタル業者の割引クーポンが用意されていたりします。
To-Do 10:装備を「試す」
ここが多くの初心者がスキップして後悔するステップです。登山靴とザックは、買った/借りた直後に必ず近所の散歩で試着するべきです。
理由は、第一に靴擦れの有無を本番前に確認できる、第二にザックのフィット感が体に合っているかを試せる、第三にレインウェアのサイズ感を確認できる、からです。「届いた箱を開けず当日まで放置」という人は、富士山本番で「靴擦れで5合目から動けない」「ザックが肩に食い込んで痛い」というトラブルに当たります。
2ヶ月前〜1週間前:体力作り
ここも多くの初心者が軽視するセクションです。
To-Do 11:近郊の低山で「8時間歩く体験」をする
富士登山は登り約6時間+下り約3〜4時間、休憩を含めると合計約10時間の山行になります(吉田ルート、歩行距離約15.1km)。普段運動していない人がいきなり10時間歩くのは、想像以上にきつい。
おすすめは、登山日の1〜2ヶ月前に、関東なら高尾山(1号路+稲荷山コース)、東海なら御在所岳、関西なら六甲山などで「往復5〜6時間の登山」を経験しておくことです。これによって、第一に登山靴・装備の慣熟、第二に自分のペース把握、第三に高度感覚の予習、ができます。
To-Do 12:有酸素運動を週2〜3回
ジムでのトレッドミル(傾斜10〜15度・速歩30分)、ジョギング、階段昇降、ロードバイクなど、心肺機能を上げる運動を週2〜3回継続します。1ヶ月続けると、登山ペースが明らかに楽になります。
私はキリマンジャロ登山の前に低酸素トレーニングジムに通った経験がありますが、富士山だけならそこまでの本格トレーニングは不要です。「日常的に階段を使う」「週末に1〜2時間早歩きする」レベルでも、無策よりは圧倒的に違います。
2週間前:最終チェック
To-Do 13:山小屋・ツアー予約の確認
予約番号、宿泊日、チェックイン時間、キャンセル料の起算日を、メモかスクリーンショットで控えます。山小屋によっては10日前を過ぎるとキャンセル料100%が発生する場合があります。
To-Do 14:天気予報を見始める
富士山の天気予報を10〜14日前から見始めます。荒天が予想される場合は、日程変更の選択肢(キャンセル料込みで)を検討します。富士山の山頂は8月でも0度近くまで下がり、雨+風だと低体温症のリスクがあるため、無理は禁物です。
To-Do 15:服装の最終確認
富士山頂の8月の月平均気温は約6.2℃で、日の出前は0℃近くまで下がります(気象庁データ)。風速1mで体感温度が1℃下がるため、強風時はさらに寒く感じます。ベース(速乾Tシャツ)+ミドル(フリースまたは薄手ダウン)+アウター(レインウェア兼ウインドシェル)の3層構造が基本です。詳細は関連記事の服装ガイドを参照してください。
1週間前〜前日:直前準備
To-Do 16:行動食と水を用意する
登山中の行動食は、チョコレート・ナッツ・羊羹・カロリーメイトなど、小さく高カロリーなものを2,000kcal分用意します。水は1〜1.5L程度持参し、山小屋でも飲料水を購入できます(500mlで500〜600円程度)。
To-Do 17:現金を用意する
山小屋のトイレ利用料(1回200〜300円)、売店、登山口の支払いに使う100円玉・500円玉を多めに準備します。3,000円分くらいの小銭・千円札があると安心です。
To-Do 18:体調を整える
登山3日前から、十分な睡眠・規則的な食事・水分摂取を心がけます。風邪気味・寝不足だと高山病のリスクが上がります。アルコール・カフェインも前日は控えめにします。
当日:朝の出発〜五合目到着
To-Do 19:朝の準備
ザックの中身を最終確認します。特にレインウェア・ヘッドランプ・防寒着・現金・スマホ充電器を忘れがちなので注意。
To-Do 20:五合目で1〜2時間の高度順応
五合目(標高2,300m)に着いたら、すぐ登り始めず1〜2時間滞在して体を高度に慣らすことが推奨されています。レストハウスで食事をとる、五合目周辺を散策する、深呼吸を意識する、などで時間を使います。これだけで高山病の発症率が大きく下がります。
To-Do 21:登山開始
ペース配分は「ゆっくり、一定」が鉄則です。最初の1〜2時間は呼吸が落ち着くまで意識的に遅く歩きます。「人に追い抜かれてもいい」というマインドセットで進みます。
当日:山小屋到着〜翌朝の山頂
To-Do 22:山小屋での過ごし方
山小屋はホテルとは違います。寝床は相部屋、洗面所・お風呂はなく、夕食はカレーが多い。仮眠は2〜4時間程度で深夜0時〜1時には起きて出発、というスケジュールです。「眠れなくても横になって体を休める」というのが正解です。
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To-Do 23:ご来光登山と下山
深夜1〜2時に山小屋を出発し、ヘッドランプの灯りで山頂を目指します。山頂で日の出(午前4時30分〜5時頃)を待ち、お鉢巡り(山頂火口の一周、約90分)はオプションです。
下山は別ルートで4時間程度。下山後は近隣の温泉で疲れを癒すのが定番です。
初心者の登頂率を上げる5つの心構え
最後に、初心者の登頂率を上げるための心構えを5つ書きます。
第一に、ペースは遅すぎるくらいで丁度いい。富士山は持久戦です。
第二に、水分・行動食は「のどが渇く前」「お腹が空く前」に。脱水・低血糖は高山病の引き金になります。
第三に、頭痛・吐き気を感じたら無理せず休憩。深呼吸して15分待っても改善しないなら、ガイドや山小屋スタッフに相談します。
第四に、「登頂が全てではない」と理解する。富士山の登頂率は調査によって幅があり、フジヤマNAVIの2014年調査では87%、ツアー利用者では約91%という数字も出ていますが、別の推定では50〜70%程度というデータもあります(出典:フジヤマNAVI調査、ゆるペン登山ほか)。いずれの数字でも、撤退判断は「失敗」ではなく「正しい判断」です。天候や体調不良で撤退する登山者は一定数います。
第五に、「下山まで含めて登山」と意識する。山頂に立つことより、無事に下山して帰宅することが本来のゴールです。
まとめ:準備の時系列を1枚で
3ヶ月前から当日までを1枚で振り返ります。
| タイミング | やること |
|---|---|
| 3ヶ月前 | 日程・ルート・同行者・ツアー有無を決める |
| 2ヶ月前 | 山小屋orツアーを予約、入山料の事前登録準備 |
| 2ヶ月〜1ヶ月前 | 装備を買う・借りる、装備を試す |
| 2ヶ月〜1週間前 | 体力作り、近郊登山で予行演習 |
| 2週間前 | 予約確認、天気予報チェック開始 |
| 1週間前〜前日 | 行動食・現金準備、体調管理 |
| 当日朝 | 五合目で1〜2時間の高度順応 |
| 当日夕方 | 山小屋着、仮眠 |
| 当日深夜〜翌朝 | ご来光登山、下山 |
このロードマップに沿って準備すれば、初めての富士登山でも無理なく計画できます。各ステップの詳細は関連記事を参照してください。
本記事の情報は2026年5月時点で、山梨県公式、富士登山オフィシャルサイト、富士宮市公式、気象庁、フジヤマNAVI、やまどうぐレンタル屋公式、各山小屋公式などから確認したものです。シーズン中に変更がある可能性があるため、最終的な計画時には各公式サイトで最新情報を確認してください。
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